◎ [収得賞金の話]…競馬新聞の見方9

 競馬新聞の見方…久々の今回は「収得賞金」の見方です。

 賞金って、その馬がレースでどれだけお金を稼いだか、これで終わってしまいがちですが競馬ではそれだけではなかったりします。競走馬の賞金には大きく分けて「総賞金」と「収得賞金」があり、「総賞金」(よく聞く本賞金は総賞金の一部です)はそのまま賞金の意味。競争馬が稼いだお金でここは馬主さんが気にすればいい項目で予想する方に知ってもらいたいのはタイトルにもありますが後者の「収得賞金」です

 この収得賞金。総賞金本賞金と並んで書かれる事が多く、多くの初心者の方が「賞金」という響きで読み飛ばしてしまいますが、収得賞金は日本円が関係しているわけではなく、こんなたとえ方は普通しませんがクラス分け制度のポイントにあたるもので、「賞金」という名前で単位が「万円」なだけで、その馬が所属するクラス(競争条件といいます。新馬、500万円以下、オープン等)を表します。その馬のローテーションを左右し、結論的に言うと、収得賞金からその馬が出走するレースに対する本気度をある程度読み取って予想の参考の一つに出来ます。

 この下では「賞金」は全てお金に関する事を言っているのではなくポイント(収得賞金)に関する事を言っていると思いながら読んでくださいませ。ちなみに賞金の事をポイントとか呼ぶのはこのブログだけの例えですので。


 競争馬のクラス分けには色々あります。ざっと言えば①新馬、②未勝利、③条件(500万円以下、1000万円以下、1600万円以下の3つに分かれます。レース名では「円以」が省略されて○歳500万下[500マンシタ]等というレース名になります)、④オープン(OPと書かれている事があります)の計4つで、オープンを最後に、基本的にはJRAのレースを一つ勝つとクラスが一つ上がる様に加算されます。ただ例外があり、重賞レースでは1着に加えて2着の馬も賞金が加算されます。

 全ての馬は競走馬として登録された際に「新馬」という0ポイントのクラスに所属し、一度負けると「未勝利」、まだ勝っていないという分け方をされます。新馬を勝った場合収得賞金に400万円が加算され、上で書いた③条件馬に格上げされます。獲得額が400万円なので、一つ勝った馬のクラスは条件馬の「500万円以下」というクラスになります。何度か勝利し見事獲得賞金1600万円を突破した馬がオープン馬というクラスになります。何度も言いますがお金の話じゃありません。

(重賞、特にG1での)除外と抽選
 今回はレース登録の際の除外の話。1つのレースに出走出来る最多頭数は18頭立てです(ちなみに最多頭数は競馬場やレースコースの危険度によって決められ小回りのコーナーがきつい様な所は最多12頭など色々あります)。(厳密には除外の優先順位にはかなり細かい規定があり、特に条件クラス以下は出走間隔が長い馬優先だとか、美浦栗東の所属が優先とか期間内に稼いだ賞金額が多いとかありますが、その様な第三第四の優先順位は省略します。)最多18頭立てのレースに20頭が出たいと申し出た場合、2頭を除外しなければレースが出来ません。クラス分け以外での収得賞金の主な使われ方がこの「除外」後述のトライアルを除いて収得賞金順位で除外対象が選ばれます。

 出たいレースに除外されるのはその対象馬にとってかなり痛手で、大体の場合、出走したい=勝ちたいなので、体調はいい状態という事が多く、そんな時に走れないと今後に影響を与えます。競走馬の調子は「波」に例えられる事が多く、調子が最高になったらしばらく下がる一方だったり、馬が仕上がっている場合に除外を受けたら別のレースに出走しておきたいですが、出走可能なレースがあるかどうかもわかりません。そんな中、最もクラスに神経質になる時期が2歳9月以降、3歳ダービー頃、3歳以上秋G1、4歳以上夏の函館開催頃の4回です。


2歳冬の例 2008年ブエナビスタ
 2歳G1ジュベナイルフィリーズ勝馬のブエナビスタは、10月にデビューし新馬戦で3着。11月に未勝利を勝ち、12月のG1阪神ジュベナイルフィリーズを勝利しています。
 競争条件のルールで、2歳デビュー戦の始まる2歳6月~9月までは、①0勝の新馬未勝利クラスと②1勝以上のオープンクラスの2段階しかありませんが、1勝馬が増えてくる2歳10月頃には2歳500万下のクラスが追加され3段階クラスになります。1勝馬だったオープン馬は500万下クラスに落ち、2勝以上もしくは重賞2着以上を1回以上した馬だけがオープン馬となります。2008年のジュベナイルフィリーズは18頭立て。この時の登録馬は29頭で、賞金順位でブエナビスタを含む17頭が1勝の賞金400万円で並んでいて6/17の抽選の結果ブエナビスタは出走が叶いました。ちなみに3着ミクロコスモスも1勝の抽選馬でした。
 ジュベナイルフィリーズの時ブエナビスタもミクロコスモスも賞金加算が必要な身の為、出来る限り仕上げられ実力通りの信頼を置ける状況だったと予想する事が出来ます。そして結果1着と3着。重賞で収得賞金が加算されるのは2着までなので、1着のブエナビスタはオープン馬。2着になれず賞金加算出来なかったミクロコスモスは500万下に留まる事になりました。
 G1を6勝したブエナビスタとは元々実力が違うと言ってしまえば仕方ないのかもしれませんが、休養を挟んで3月に桜花賞トライアル、4月に桜花賞、5月にオークスに出走する事になるブエナビスタに比べると、ミクロコスモスは同月12月に自己条件の500万下に出走し、G1を目指して2月3月にも出走したり等ローテーションに苦しみ、G1で掲示板に乗る力は見せながらも結局オープン馬で終わる事も出来ませんでした。
 

3歳秋の例 2014年トーホウジャッカル
 クラシック菊花賞勝ち馬トーホウジャッカルは、健康面の問題からデビューが遅れデビュー戦は3歳の5月31日。ブエナビスタの例で出した様に、この3歳6月頃はまたクラス改編時期で1000万下のクラスと1600万下のクラスが加わり、①未勝利②500万下③1000万下④1600万下⑤オープンの5段階クラスになります。つまりトーホウジャッカルが菊花賞に出走するには、ほぼ6月というデビューから10月の菊花賞までに4回勝たなければならない状況ですが、初勝利は7月12日。9月の時点で2勝の③1000万下クラスでした。9月28日に菊花賞優先出走権を目指してトライアル神戸新聞杯に1000万下クラスながら抽選覚悟の格上挑戦をし抽選を突破。レースでは不利を受けながらも見事3着し、賞金加算出来ずも菊花賞には出走できる事になりました。

 さてこの菊花賞でのトーホウジャッカルの予想での扱いは難しい所が色々あります。一つはトライアルで不利を受けながらほぼ勝った様な3着という実力を見せつけた事。他には健康面でデビュー遅れした馬がデビュー後一度も休みなく毎月走っている事などなどありましたが、神戸新聞杯で2着になれず1000万下クラスに留まった事で、2着以上にならないとまた自己条件の1000万下クラスを走らなければならずG1戦線から遠ざかる、やらなければならない状況がありました。ちなみに私はこの時トーホウジャッカルを買いませんでした、結果は言わずもがな…


 トライアルと言えばトライアルホースという様な呼ばれ方をする馬がいます。競馬を知らない人でも知られている三冠馬ナリタブライアンは菊花賞トライアルでは2着。牝馬三冠馬アパパネは馬券外の4着。アパパネに勝ったアニメイトバイオ、ナリタブライアンに勝ったスターマンは本番では三冠馬に敗れています。トライアルに勝てなくても出走できる馬は本番に勝てばいい。やらなければ本番に出られないという馬はトライアルで勝ってもそれ以上がなく本番で敗れるという図式はありがちです。


4歳夏前の降級
 最後にこれはちょっと例えになる馬が思い浮かばなかったんですが、4歳以上夏の函館開催頃にある競争条件のルールで、収得賞金が一律半分になるというものがあります。収得賞金900万円の馬は450万円になり、1000万下クラスから500万下クラスに。収得賞金3000万円でオープン馬だった馬は1500万円で1600万下クラスに降級します。これを受けてクラスが落ちた馬は降級馬[コウキュウバ]と言われ、初心者はよく高級馬?とお金の話に興味深々になりますが違います。

 なぜそんな事をと言われるとそのクラスで勝てなくなった馬の救済という事だと思います。勝ったら上のクラスになるんだから当たり前の話、下のクラスの方が馬が弱い事になります。1000万下で勝てなくなっていた馬が500万下のクラスになる事によってまた勝つ事が出来るかもしれないという措置。実際この夏頃の条件レースは降級馬がよく勝ちますので予想の参考に。

 降級馬はダービー以降に賞金が加算出来ずに3歳条件馬となってしまった馬が苦しむ要因でもあり、降って来た強い馬と苦しい戦いをしないといけない為、夏の条件から上がって来た3歳条件馬はクラスが安定した秋G1で結構強かったりします。最も降級の恩恵を受ける馬は収得賞金1700~2000万未満のオープン馬で半分になると850万~1000万未満とオープン馬から2階級落ちの1000万クラスにまで落ちる事になります。


まとめ
 500万円とか言っておきながらお金の話じゃないとかややこしい話でしたが、収得賞金の考え方がわかってもらえたでしょうか。加える必要のある事柄や省ける所があったら編集しておきます。もしわからない事、これは違うのではという所があったらお気軽にお尋ねください^^
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